ギャラリー
エマーユ小箱
貴婦人の優雅な時間を彩り、
深い歓びに満ちた小さな芸術品

アール・ヌーヴォーの
女性像エマーユ小箱1900年頃 パリ
モノグラム FR小箱全体に繊細な彫刻が施された四角形の個性的な作品。
中央にセットされたエマーユには、豊かな髪と柔らかな頬の美しいアール・ヌーヴォー様式の女性像が描かれています。また、女性の被り物には宝石に見えるように立体的に釉薬を配置するビジュ絵付けの技法が用いられた華やかな色彩のエマーユ小箱です。
白い頭巾の女性像エマーユ小箱
1900年頃 リモージュ
ポール・ボノー(1873〜1953)19世紀後期から20世紀前半にかけて活躍し、リモージュエマーユの名声を高めたエマーユ作家ポール・ボノーの作品。ボノーは様々な女性を卓越した技術で美しくエマーユに描いた作家として知られています。
この作品は、同時代に活躍したドイツ人画家フリードリヒ・アウグスト・カウルバッハの絵画から着想を得たと思われる美しい女性の横顔が印象的に描かれたエマーユ小箱です。
エマーユ絵画
語りかけるような優美な表情の、
華やかで透明な輝きあふれる魅力

マグダラのマリア
1620年頃 リモージュ
ジャン・リモザン工房この作品は16世紀から17世紀にかけてリモージュで活躍したエマーユ作家一族リモザン家のひとりジャン・リモザンの工房で制作されたとても貴重な作品です。
悔悛するマグダラのマリアは多くの芸術作品で描かれましたが、このエマーユ絵画のマグダラのマリアは手に大きな十字架を持ち、視線の先には彼女のアトリビュートである頭蓋骨が描かれています。
十字軍リナルド
1900年頃 パリ
テオフィル・ソワイエ(1853〜1940)16世紀末頃にイタリアの詩人タッソーによって書かれた叙事詩「解放されたエルサレム」に登場する十字軍の勇士リナルドを描いた作品です。
美しい魔女アルミーダと運命的な恋に落ちるリナルドの姿を描いたのは、アール・ヌーヴォー期に活躍したエマーユ作家テオフィル・ソワイエ。パリで活躍したソワイエは多くの秀逸な作品を創作し、当時のエマーユ界を華やかに彩りました。
エマーユジュエリー
人間の手が創り出した宝石に込めた、
神秘的な個性とメッセージ

アール・ヌーヴォーの
女性像ジュエリー1900年頃 リモージュ
ルイ・クレマン(1882〜1977)/アントワーヌ・スートルアール・ヌーヴォー期は、女性の肖像をテーマにしたエマーユジュエリーが大流行しました。
当時の美術界を席巻したアルフォンス・ミュシャが描く女性像はリモージュのエマーユ作家たちに影響を与え、作家たちが描く女性の肖像画はエマーユアートの世界をより華やかなものにしました。
美しい女性の横顔を描くスタイルは、伝統技法を受け継ぐ作家によって現在のリモージュエマーユに継承されています。
女性像ゴールドエマーユブローチ
1880年頃 パリ
フレームデザイン:梶光夫素地にゴールドを使用した、エマーユの最高峰と表現されるゴールドエマーユ。衣装や被り物の柄の精巧さ、多色を用いて絵付けが施された細密なエマーユからは、その卓越した技術から特別な才能を持つ作家によって制作されたものであることがわかります。
この作品は、19世紀後期のゴールドエマーユに梶光夫がフレームデザインを施した大変豪華な作品です。

天使のゴールドエマーユ
1880年頃 パリ
神の使者である天使はアール・ヌーヴォー期に好んでモチーフとされ、エマーユの世界でもとても愛らしい姿で描かれました。この作品のように小さな細密画であるミニアチュールエマーユは、小さなものは1センチに満たないほどの作品もあり、形状も様々なデザインで制作されていました。可憐で優しい小さな芸術品として、ジュエリーなど所有者の身近なものに使用されていました。

花とトンボのブローチ/
十字架エマーユペンダント1900年頃 パリ / 1890年頃 パリ
花とトンボは、自然主義を原点とするアール・ヌーヴォー期の芸術品に多く描かれたモチーフです。自然界の生命力をジュエリーで表現したこのブローチの花の中には、小さな煌めくダイヤモンドがセットされています。また、十字架のエマーユペンダントはゴールドのフレームにエマーユが繊細に施され、ルビーとパールが美しく配置された作品です。
アール・ヌーヴォーの美術品
アール・ヌーヴォーを華やかに彩った
巨匠たちの美しき競演

アール・ヌーヴォー期のガラス
エミール・ガレ、ドーム兄弟、アルジー・ルソーなど、アール・ヌーヴォー期に活躍したガラス作家たちの作品。技術と魂を注ぎ込んで作り出した、ガラスが持つ光の反射や透過による造形美が創り出す華麗な芸術の世界です。

アール・ヌーヴォー期のブロンズ
有名な彫像「ロイ・フラー」で知られるフランスの彫刻家フランソワ=ラウル・ラルシュ、女性像の花器作家シャルル・コルシャン、「科学の前にヴェールを脱ぐ自然」で知られるルイ=エルネスト・バリアスなど、ブロンズ蒐集家でもある梶光夫のコレクションです。
19世紀末に花開いた
アール・ヌーヴォーとエマーユ
19世紀末、それまでになかった斬新で独創的な装飾様式が生まれました。
自然界、特に植物の持つ曲線をモチーフとし、それを大胆にデフォルメしたこの様式はフランスで「アール・ヌーヴォー ─新しい芸術─」と名付けられ、またたく間に全ヨーロッパ、そして世界へと波及していきました。そしてそれは絵画や彫刻などの芸術分野にとどまらず、宝飾品そして建築や家具など広汎にわたり取り込まれ、一大芸術運動として19世紀末から20世紀初頭の文化を席巻したのです。
あくまでも曲線の美しさにこだわったアール・ヌーヴォーの装飾様式は、フローラル(植物的)、フェマール(女性的)という表現で特徴づけられますが、それは人間の創り出す曲線とは異なった、自然界の生命力を感じさせる曲線です。当時、宝飾作家として活躍したルネ・ラリックをはじめガラス工芸作家エミール・ガレ、絵画のアルフォンス・ミュシャらの作品にその特徴を見ることが出来ます。
この時期につくられたエマーユ作品には流麗な線で描かれた女性像を主役として、自然主義というその原点から草花や実といった植物、そしてトンボ、蝶などの昆虫が象徴的に用いられ、それらの具象的表現は曲線を媒体として一体化させた表現として反映されています。
過去から現代に至る長い歴史の中には多くの様式が存在します。そしてそれぞれのピリオドには、特筆すべき意匠表現や創作技法が数多くあります。その中にあってアール・ヌーヴォーは、その表現手法、造形性、そして独創性などの観点より、優れた芸術様式のひとつであることは疑う余地もありません。
19世紀末に花開いたこの卓越した芸術文化は、現代においても多くの人々を魅了し続けています。
国立西洋美術館所蔵
梶コレクション
2024年、梶光夫は国立西洋美術館にこれまでに蒐集したアンティークエマーユコレクションの中から重要な作品148点を寄贈しました。また、2025年には寄贈記念として国立西洋美術館の小企画展にて「梶コレクション展─色彩の宝石、エマーユの美─」が開催され、梶コレクションのエマーユを国内外の多くのご来場者にご覧いただきました。現在は、国立西洋美術館の常設展にて梶コレクションの一部の作品が常設展示されています。
ルネサンス期ファッションの若い女性像
1907年 リモージュ
ポール・ボノー(1873〜1953)
聖母子と聖人たち
1850年頃 パリ
モノグラム MG
アイリスとアール・ヌーヴォー様式の女性
1900年頃 パリ
L・マルシャン
ギリシャ神話の女神アルテミス
1910年頃 リモージュ
エルンスト・ブランシェ(1855~1935)
マリー・アントワネット
1890年頃 パリ
テオドール=ユージュヌ・ルロア(推定)
花で飾られたアール・ヌーヴォー様式の女性
1900年頃 パリ
ユーノが描かれた小箱
1880年頃 パリ
レヴィ・コブレンツ(1828~?)
愛の泉が描かれたピルケース
1860年頃 パリ
モノグラム LM
薔薇と女性の宝石小箱
1900年頃 リモージュ
アトリエLD モノグラムLD
ネオルネサンス様式の家具調小箱
1880年頃 パリ
ヴィーナスが描かれた脚付盃
1863年 パリ
シャルル・ルペック(1830~1888以降)
聖女ファビオラ飾りトレー
1900年頃 パリ
モノグラム FR
アール・ヌーヴォー様式の女性像ペンダント
1900年頃 リモージュ
ポール・ボノー(1873〜1953)
ゴールド製、ルビー、パール
フィレンツェの少女ペンダント&ブローチ
1880年頃 パリ
ポール・ヴィクトル・グランドーム(1851~1944)
ゴールド製、ダイヤモンド、パール
ブルーエナメルペンダント&ブローチ
1860年頃 パリ
ゴールド製、ルビー、ダイヤモンド
皇后テオドラ像ゴールドエマーユ
1880年頃 パリ
ゴールド製、ダイヤモンド
アルフォンス・ミュシャ「La Plume」ゴールド
エマーユ
1900年頃 パリ
ゴールド製
天使と海の怪獣ゴールドエマーユ
1880年頃 パリ
ゴールド製
ゴールドエマーユネックレス
エマーユ:1880年頃 / 製作:1995年 デザイン:梶光夫
K18イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイヤ、ガーネット、
アレキサンドライト
アール・ヌーヴォーエマーユペンダント&ブローチ
エマーユ:1998年 リモージュ クリスティーヌ・シェロン(1953~)/ 製作:2024年頃 デザイン:梶光夫
K18イエローゴールド、プラチナ、オパール、ジルコン、ガーネット、スピネル、サファイヤ、トルマリン、
ダイヤモンド
グリザイユエマーユペンダント&ブローチ
エマーユ:1930年頃 リモージュ カミーユ・フォーレ(1874~1956) / 製作:2010年 デザイン:梶光夫
K18イエローゴールド&ホワイトゴールド、サファイヤ、アレキサンドライト、ダイヤモンド
作品集紹介
梶 光夫コレクション 炎の芸術エマーユ 美しき女神たちの肖像
梶光夫のアンティークエマーユコレクション集の第二弾。
国立西洋美術館寄贈記念として出版され、寄贈作品や新たな蒐集作品など珠玉のコレクションが多数掲載された作品集です。美しい作品写真と細かな解説でエマーユの理解に繋がる専門書です。
エマーユ─美しき貴婦人たち─
梶光夫が長年にわたり蒐集したアンティークエマーユコレクションが掲載されたコレクション集。
個性的な感性と的確な審美眼で築かれたコレクションが多数掲載され、作品の美しさだけでなく当時活躍した作家たちの技術や精神に迫ったエマーユ専門書です。
